それでは、遺言書作成の為に何をしなくてはいけないかをご説明していきます。

 財産目録の作成

 
自分にどのような財産があるのか、リストアップします。

  • 土地や建物などの不動産
    登記に記載してある通りに遺言書に書く必要があるため、登記簿謄本等を取り寄せます。
    不動産の評価額も調べておきます。
  • 預貯金
    金額、金融機関名、支店名、預貯金の種類、口座番号などを書き出します。
  • 有価証券
    証券会社、銀行などの取り扱い機関、株式の数量、証券番号などを書き出します。
  • 保険
    契約先、証券番号、死亡保険金の額などを書き出します。
  • 権利関係
    借地借家権、ゴルフ会員権、知的財産権、電話加入権などがあれば、その契約先、金額などを書き出します。
  • 動産
    自動車、骨董品、宝石、貴金属、家具、家電などがあれば、その評価額を書き出します。
  • 各種ローン・借金
    負の財産も相続対象となります。ローンや借金があれば、そのその契約先や金額などを書き出します。

2.親族関係図を作り、法定相続人を確定する

法定相続人は、遺言書作成者からみた「配偶者」「子」「親」「兄弟姉妹」となり、「子」や「親」「兄弟姉妹」が死亡している場合は、「孫」「祖父母」「甥・姪」などが該当します。

配偶者と子がいる場合は、親や兄弟姉妹が存命中でも、法定相続人は「配偶者」と「子」になります。

配偶者がすでに死亡し、子しかいない場合は、法定相続人は「子」のみになります。

子がおらず、配偶者しかいない場合の法定相続人は、「配偶者」と「親」になります。「親」がすでに亡くなっている場合は、「配偶者」と「兄弟姉妹」になります。

離婚はせずに長年別居状態であったとしても、配偶者である以上は相続権があります。

離婚した場合にも、自分の子供には相続権があります。例えば、別れた相手が子供を引き取った場合には、別れた相手には相続権はありませんが、血の繋がっている子供には相続権があります。

自分の子供の配偶者には相続権はありません。自分の子供が死んだ後も引き続きその妻や夫に面倒を見てもらっていたとしても、その妻や夫に相続権はありません。

などなど、親族構成により、法定相続人はとても複雑になります。法定相続人をよく調べないで遺言書を作成した場合には、遺言書に記載されていなかった法定相続人が遺留分(下記(3)参照)を請求しトラブルになることもあるので、注意が必要です。

法定相続人については、書籍などで調べるか、行政書士・司法書士・弁護士等の専門家に相談されることをおすすめいたします。

3.遺留分を侵害しないよう注意する

「遺留分」というのは、法定相続人が受け取れる最低限度の相続分のことで、民法で保障されています。この最低限度の相続がもらえなかった遺族は、他の相続人に対して、遺留分を請求できることになっています。

遺留分を請求できる法定相続人とは、「配偶者」及び「直系卑属(子・孫など)」「直系尊属(父母・祖父母)」となります。「兄弟姉妹」に遺留分はありません。

例えば、長年別居状態にある配偶者には遺産をいっさい渡さず、事実婚の相手に全額を渡すという遺言書を作成したとしても、配偶者は事実婚の相手に遺留分(相続財産の1/2)を請求できることになります。(遺留分の割合は遺留分のある法定相続人の数や構成によって異なります)

自分が亡くなった後の相続トラブルを防ぐためにも、遺留分のある法定相続人には、遺留分に相当する遺産を残す遺言書を作成する配慮が必要となります。

4.遺言執行者を決めておく

遺言執行者とは、自分が作った遺言書通りに遺産を分割してくれる人のことです。遺言執行者は必ずしも指定しておく必要はないのですが、せっかく遺言書を作ってもその通りに実行されないと意味がありません。特に、法定相続人以外の事実婚の相手や同性のパートナーにも遺産を残したい場合は、遺言執行者を指定しておくほうが安心です。遺言執行者がいる場合は、他の相続人は勝手に遺産を処分することはできません。

遺言執行者は遺言でしか指定できず、他の契約書等で契約しておくことはできません。遺言執行者は、未成年者や破産者以外誰でもなることができます。相続人のうちの誰かを指定することもできますし、弁護士や税理士、行政書士や司法書士等の第三者を指定することもできます。

第三者に遺言執行者を依頼する場合は、予めその内容を相談・依頼しておく必要があります。実際は、遺言書の作成を依頼した第三者に、遺言執行も依頼することが多いようです。